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2010年4月12日 (月)

「日々経る短歌(日経ウーマンオンライン)」の感想

今日になって日経ウーマンオンラインでほぼ毎日更新中の
「日々経る短歌」の存在に気がつきました。

厳選されているだけにステキな短歌ばかりです!

ということで、そのなかでも特にお気に入りの作品の感想を書いてみます。

ちなみに「日々経る短歌」のURLは以下のとおりです。
枡野浩一さんのコメントもステキなので、ぜひご覧ください。
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090902/103958/

■感想

ため息が涙になって夢になりよだれになって朝になります (伊勢谷小枝子)

一読して吹きました。麦茶返せ!←飲んでない
ちょっと神話っぽくもありますよね。
なんか人間ってたくましいよなー。
つらい夜に口ずさみたい短歌です。
あと伊勢谷小枝子さんはとりあえずよだれ拭いてください。

恋なんてわからないけどおにぎりは誰かに作ってもらうと旨い (仁尾智)

「日々経る短歌」では上の句と呼ばれる前半部分だけがリストに表示されています。
この作品の場合は「恋なんてわからないけどおにぎりは」の部分が該当。
その時点でめっちゃ期待が高まりましたが、
期待を裏切らない見事な着地を決めてくれたと思います! 拍手!


旅客機ははるか上空 見上げれば少しは我慢できる涙だ (丸山太一)

「少しは我慢できる」ということは「ほとんど我慢できない」んですね……。
丸山太一さんは泣き虫だなあ。
そんな泣き虫短歌ですが、情景やドラマがぱっと目に浮かぶ作品だと思います。
泣き虫のわりには、そんなに湿っぽくないのも良いですね。
作品を突き放すことができている証拠ですね。泣き虫なのに。やるな。

てっぺんが禿げてる人は比較的タケコプターの装着が楽 (トヨタエリ)

これも吹きました。鉄骨飲料かえせ!←飲んでない、あと、今のCMきらい
身も蓋もないっていうか、フォローになってないっていうか、
そもそもタケコプターなんて実在しないのにそんなこと言われても……。
トヨタエリさん。どうした。禿げてる人にいじめられたのか。
枡野浩一さんのコメントでは改作案も示されていたけど、個人的にはオリジナルが好き。
この標語風の淡々とした感じがおかしいです。

正しくはないけどたぶん間違ってないからここにいていいですか (根岸絹)

なんか報われない恋って感じがします。
そのことを冷静に理解しているのがまた切ないですね。
根岸絹さんがトヨタエリさんの図々しさを持ち合わせていますように……。
作品はほとんど完璧にまとまっていると思います。

もういっそ「1番じゃなきゃ意味がない」って誰かはっきり言ってください (古内よう子)

古内よう子さん、よく言った!
俺も常々オンリワーンよりナンバーワンだと思っています!
日経ウーマンオンラインの読者層にも刺さりそうな内容ですよね。

できるだけ急いで俺にバファリンのやさしさじゃない半分をくれ (吉准吉)

偉そうにくだらないことを言っているのがウケました。
「バファリンのやさしさじゃない半分をくれ」は名フレーズ。
このフレーズが降りてきたときの吉准吉さんの浮かれっぷりが目に浮かびます。

「一番じゃなくても君は特別」の特別なんて一番じゃない (古川亜希)

確かに。古内よう子さんの歌と通じる内容ですね。
でも冷静に考えるとかなり困ったちゃん発言だな。
「一番じゃなくても」って最初に言ってるじゃんか!
それを「一番じゃない」って……そんなのわかってるよ!
まあ「特別」なんて言葉にはだまされねえぞってことですね。
これも作品としてきれいにまとまっていると思いました。

そういえば別れたんだと思うほど私の朝は寝惚けていない (遠藤しな)

クール。しびれました。
ドラマを演出するために人はついつい嘘をついてしまいがち。
特に短歌とかはそうですよね。
安易なフィクションに走りそうになったら
遠藤しなさんに冷たい目で「寝惚けてんじゃねーよ」と罵られる情景を思い浮かべることにします。

一番になって初めて気がついた 二番がいると幸せじゃない (薮本あや)

なるほど!
古内よう子さんと古川亜希さん聞きました?
一番だからってそんな幸せじゃないみたいですよ!
目からウロコを落としてくれるような会心の作品ですね。
この短歌はすぐにでも暗唱できると思います。
言葉の結晶度が高い証拠ですね。

夢よりも大事なことがあるだろう 沸騰したら麺入れるとか (丹生谷歩美)

すっごく・・・説得的です・・・。
そうだよな。お湯が沸騰してるのに麺入れないで夢見てる場合じゃないよな。
いや、なんか騙されている気がするけど……。
感傷でベチョベチョになりがちな短歌という形式で、
これだけ地に足の着いた、それでいてあたたかみのある作品が作れるのはすごい。
これも暗唱できる作品です。どっかで使おう。

試さずにダメだとわかってしまうほどお前は恋の天才なのか? (葉苗あつこ)

恋に臆病になっているココロを勇気づける良い作品ですね!
文章として不自然なところもない完璧な作品だと思います。
恋愛相談されたときに、ぜひ使おう。

明けたってめでたくなんかないけれどメールを送る理由にはなる (貴志えり)

いじらしい……。
あけおめメールは送りやすいぶん、無視されやすいのが問題ですね。
貴志えりさんにとって良い一年になりますように。

こうやって星が見られるから首が曲がることってすばらしいなあ (岡本雅哉)

岡本雅哉さんはバカだなあ……。
いつまでも岡本雅哉さんがそのまんまでありますように……。

どうしても端がくるりとなるチラシなにが不満か言ってごらんよ (野比益多)

こういうやさしい短歌って大好きです。
身近な人にやさしくするのも難しいというのに、
やさしくする対象が「紙」ですよ? 「チラシ」ですよ?
野比益多さんの底抜けのやさしさにノックアウトされそうです。
でも、すこしだけ、心配です。

真っ直ぐに歩けないからいつかまた君の道とも重なるのかな (都季)

今回取り上げた短歌のなかで一番好きな作品です。
いやあ。どんだけポジティブなんだ。都季さんは。
さみしさと強さとちょっとした希望が同居するやさしい手触りの名作だと思います。
なんでこの作品を作ったのが俺じゃないんだろ……。
俺が作ったことになりませんかね?
くやしいなー。

今回取り上げた歌すべてに言えることですが、
よく推敲されていて、言葉の結晶度が高いです。
それだけじゃなくて、「笑える」とか「気づきがある」とか「ぐっとくる」とか
読者の心を引っ掛けるフックがあるのが特徴ですね。

こういうのを読むと俺も頑張ろうって思います。
負けないような作品つくるぞー。

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