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2011年9月15日 (木)

ウィトゲンシュタインの物差し

# 今日は仕事で力つきたので某所からの転載です


こんにちは。あたいだよ。
今日は「ウィトゲンシュタインの物差し」の話をします。

これは、最近読んだ『まぐれ』という本の中に
ちょろっと出てくる言葉で、著者の造語です。


■実名vs匿名論争ふたたび

さて、話は変わるようですが、
ちょっと前に「実名vs匿名論争」がTwitter上で盛りあがりましたよね。

全部は読んでないのですが、
議論の軸のひとつに「説得力」があったと記憶しています。

実名のほうが説得力がある、
と主張できる根拠はいくつか思いつきますが、
「発言者を信頼しやすい」ことがひとつ大きな根拠になりそうです。

でも、なんで信頼できることが大事なんでしょうね?

そこで「ウィトゲンシュタインの物差し」の出番です!


■当てにならない物差しは何を測っているのか?

これはベイズ統計で使われる
「条件付情報」という考えがベースにあります。

以下『まぐれ』から引用します。

-----------------

誰かが何かを言うとき、
その人が十分にふさわしい条件を持っていないかぎり、
伝えようと思ったことよりもむしろ、
その人自身のことのほうがずっと明らさまになる。

*

好意的なものでも否定的なものでも、
書評は本そのものよりも書評を書いた人のことをいろいろと描き出す。

*

物差しでテーブルの長さを測っているとき、
とても信頼できる物差しでなければ、
同時にテーブルで物差しの長さを測っていることになる。

*

物差しが当てにならなければならないほど、
得られる情報は物差しに関するものが多くなり、
一方テーブルに関するものは少なくなる。

*

アマゾン・ドット・コムに名無しの読者が書く書評は
書評を書いた人自身についてしか語らない。
一方、能力のある人が書いた書評からは本に関する情報がたくさん得られる。

-----------------

つまり、信頼できない人であればあるほど、
その発言の内容そのものではなく、
その人自身の思考力が評価されてしまう、というようなことです。

ウィトゲンシュタインの物差しからすると、
匿名の人の発言に説得力がないのは当然というわけですね!


■ちゃぶ台がえし

さて、鋭い人は気づいていたと思うのですが、
ここまでの話は、

・実名→信頼できる→発言の内容について情報が豊富→説得力が高い!

・匿名→信頼できない→発言者自身についての情報ばかり→説得力が低い・・・


という因果関係を暗黙の前提としていました。

でも実名だから信頼できるかと言ったら必ずしもそうじゃないですよね。
(匿名だから信頼できない、とは言えるかもしれないけど)

むしろこの場合の実名は「有名」に置きかえたほうがいいかもしれません。

そして確率論に根ざした
「ウィトゲンシュタインの物差し」が主張する事柄にも注意が必要です。

どういうことかと言うと、この考えってすごーく理性的なわけです。
そして僕たちはものすごーく情緒的な生き物なので、
あまり複雑なことは(頭ではわかっていても)心ではわからなかったりします。

つまり簡単に言ってしまうと、

「実際の発言に接したときにそんなこと考えねえよ!」

ということです!(どーん)

最後にふたたび『まぐれ』から引用します。


-----------------

私の情緒システムはウィトゲンシュタインの物差しがわからない。
その証拠に、褒められれば褒めてくれた人が誰だろうとうれしい。

-----------------


ま、そういうことですねー。



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