【短考】歌会が苦手な人のための歌会を考えた(Season3)
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前々回そして前回につづいてテーマは歌会。
いよいよSeason3に突入です。
前回は運営のプロセスごとに問題点を洗い出しました。
今回はそれをベースに改善の方向性を提案していきます!
ちなみにここで書いている内容は「ぼくのかんがえるさいこうのうたかい」なので、
誰もが賛同できる内容ではありません(そうである必要はなにもないですしね)。
その点はご注意くださいませ。
■改善の方向性
1.企画・立ち上げプロセス
【主要な課題】目的が不明確なので企画がふにゃふにゃん
【新コンセプト】「短歌力を向上する」という目的を明確に掲げる
1.「いい短歌をつくる」という最重要目的を明確に掲げる
2.目的を達成するためのプロセスをゼロベースで検討する
3.プロセスを達成するために必要なリソースを確保する
4.また、そのために人数を制限する
5.上記の活動骨子を公示して賛同できる人だけに参加してもらう
2.出詠プロセス
【主要な課題】慣習ありきで出詠ルールが決められている
【新コンセプト】目的から逆算して最適な出詠ルールを決める
1.題詠/テーマ詠/自由詠は相談のうえ決める。とりあえず題詠が無難。
2.出詠数は時間制約もあるのでとりあえず一首だけにする。
3.改善プロセスがあるので(後述)、即詠を基本方針とする。
4.バイアスがかかるので投票終了までは無記名とする。
3.投票プロセス
【主要な課題】投票で浮かび上がる情報量が少なすぎる
【新コンセプト】定量的で多面的な評価ができる投票システムにする
1.定量的で多面的な評価ができる投票システムにすることを基本方針とする。
2.あらかじめ用意した評価軸に沿って採点する。
1.ポテンシャルと完成度
2.口語×ポップ、口語×アート
3.全作品に対して点数づけないし評価を行う。
1.すごく好き、好き、ふつう、嫌い、すご嫌い
2.0~100点
3.趣味性、技術
4.評価はある程度共通認識できるような物差しを用意する(有名作品など)
4.感想・講評プロセス
【主要な課題】講評がこじつけに終始することが多く改作の役にたたない
【新コンセプト】「作品を良くするにはどうしたらいいか」という観点で講評する
1.投票結果の発表
1.投票の根拠をあらかじめ用意した観点で説明する
2.感想・講評
1.「作品を改善するにはどうすればいいか?」という観点でコメントする
2.作者も堂々と自己弁護する
3.納得がいくまで指摘、質問、回答などを行う
3.改善
1.実際に寄ってたかって改善する
2.改善前と改善後を採点する
5.クロージングプロセス
【主要な課題】実施した歌会で得た経験が次の歌会に活かされない
【新コンセプト】振り返りを実施して次の歌会で確実に改善できるようにする
1.個人ベースのふり返りMTG
1.Keep(良かったこと)
2.Problem(悪かったこと)
3.Try(挑戦したいこと:次回活動で結果報告)
2.歌会全体のふり返りMTG
1.Keep(良かったこと)
2.Problem(悪かったこと)
3.Try(挑戦したいこと:次回活動で結果報告)
■改善案の特徴
今回の改善案の最大の特徴は
「短歌力を向上する」というかなり絞った目的を明確に掲げていることです!
そしてその目的から逆算して
「歌会の基本的なフレームワークのなかで効果を最大化するように活動を選択している」
わけです。
個々の活動内容自体は、ただのアイデアレベルなので、
完璧どころかより良いアイデアが他にたくさんあると思います。
目的にどれだけ貢献できるかも未知数ですが出発点としてはありじゃないかと。
大事なのは「普通の歌会では」とか「慣例だから」という地点で思考停止しないで、
目的を明確にして、目的を実現できる活動をしっかりと考える、ということだと思います。
*
以上「こんな感じだったら参加してもいいなあ」と思える改善案を提示してみました。
いかがでしたでしょうか。
で。
というような改善の方向性まで考えたら、
あとは実際にやらないわけにはいかないよね!
ということで去る5月5日に実は歌会を実施していたのでした。
次回の最終回では実際にやってみた歌会の内容と、
その感想を書いて「歌会」についての記事を締めくくろうと思います。
ではまた。
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コメント
歌会についての感想をじかに聞いたことと、空き地歌会の様子をustreamで動画で見たことがあります。空き地さんの様子は、すぐに気持ち悪くなって止めましたが、でも、なんとか様子をしっかり見ようとなんどかあとですこしだけ止めながら見ていました。今回の改善点とは違う視点を持っていますが、でも、おなじように変えたいと思っているものです。
短歌を作る志向、動機から考えたいです。
皆、自作をより良いものにしたいと、他からできるだけ学びたいと、集まってきているのではないでしょうか。それを、まるで自治会選挙のような、死んだもの、あるいは、集票システムのようなものにして、がちがちにつまらないものにしてしまっている。これは、創った人のシステムの欠陥だと明らかに思います。
もともと短歌の解釈は、古典でさえも意見が分かれて、当事者の二人だけが解ればよいみたいなものがあったと聞きます。(古語での段階の話ですが)。それではいけないと、古典体系などに盛り込む通称の解釈が生まれたと確か伺いましたが、でも、もともと、意味のちゃんと通じるのはごくわずかということです。それだけ、個人に密着した体験から生まれる、かぎられた文字での創作だと思います。
なので、永田和宏さんが短歌の上梓された歌集のエッセイで書かれていますが、大学(京都大学)の短歌同好会で、なかまと磨きながら、創作していったとあります。奥さんともそこで出会い、奥さんとのなれそめとかもわかります。ふたりは結婚生活の間相聞歌をつくっていたのですが、微妙に、似ているような似てないような、夫婦での相違が感じられて興味深いです。
夫婦の話はさておき、(短歌同好会的な短歌会がよいというふうにもっていきたかったので、取り上げましたが)、短歌同好会、あるいは短歌研究会みたいな、討論式、感想のやり取りで、作者とじかに、感想を言い合える形式がいいと思います。それは、多少人数もかぎり、円卓式のテーブルで輪になって時間を取って話すのが良いのだと思います。そして、その形式が合う人も合わない人もいる。
創作の一つですが、作詞をしていたとき、ネットの議論で、かみ合ってた時期は、それなりに仲間が一つの方向を定めていて、(青春、恋愛の祖語みたいな、苦悩みたいなものをみな持ち寄っていました、)みなでひろく、あたたかく講評し合いながら、それなりの批評点を、尊敬の念を持って、きちんとつたえながら、感謝して相互に交流していたときです。
あらしにあって、そこはけっきょくつぶれましたが、
大勢すぎても、その趣旨を貫徹できないでした。
ネットバージョンと短歌会は違うかもですが、
趣旨を徹底するのに、趣旨を理解したものだけに限るのはできる方法だと思っています。
趣旨に外れたら、スレ主さんの権限で退会させられるという一筆に同意しないと入会できませんでした。
だれかの中傷をしたり、尊厳を傷つけたり、あるいは、意味のない批評や敵意を公開したりした場合とか、あったと思います。
そういうのをまもりながら、仲間全員がさいごまではなしあいました。
最後はなかなかみんながそろいませんでしたが、
社会人が主なので、しかたなかったですね。
広い視野が持てて、そして、作品を向上できてよかったでした。
そういう上向きのシステムをつくれたらいいと思います。
まだ具体案を詰めていませんが、
ぜひ、つぎのパートで考えを書いてほしいと思います。
短歌への敬愛を込めて。
はとりより(仮名)
投稿: はとり | 2016年6月 5日 (日) 10時53分