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2012年12月14日 (金)

【短考】Baseを利用した枡野浩一さんの短歌販売サイト「57577」! -短歌の商品価値について考える-

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以前「Base」というクレジット決済機能もついたショッピングサイトが簡単かつ無料で開設できるサービスのことを紹介しました。


【短考】無料ですぐ始められるネットショップサービス「BASE」って短歌販売にピッタリかも


そのBaseですが12月11日の時点で登録商品総額が1億円を突破したそうです。



重要なのは今後売上が実際にどれだけあがるかというところにあるわけですが、少なくとも出店サイドには順調にサービスが拡大しているみたいですね。

そんなBaseを使って、短歌を一首から販売するというおもしろいショップが開設されたので今回はその紹介をすると共に、「短歌の商品価値」についてゆるゆる考えてみます!


■枡野浩一さんの短歌販売サイト「57577」

短歌を一首から販売するというおもしろショップを開設したのは歌人の枡野浩一さん

枡野さんは「Gmailの返信に失敗しがち系歌人」として機械音痴のイメージがありますが、古くは掲示板の時代から最近だとTwitterやiPhoneアプリ電子書籍までウェブサービスなどの最新のテクノロジーをいち早く、しかもユニークに活用するセンスが抜群な人物でもあります。

なので今回もさすがという感じですね。

肝心の商品もユニークで、

あなたの名前を詠み込んだ短歌5,757円

というひとつのみ。

詳しくは上にリンクした商品解説ページをご覧いただきたいのですが、依頼主の名前を詠み込んだ短歌をだいたい7日間くらいでメール納品する仕組みのようです。


■「57577」のユニークな特徴

この「57577」のユニークな特徴は以下のようなところにあると思います。

  1. Baseを利用した無料かつ素早いサイト開設
  2. 短歌一首からの販売
  3. 5,757円という強気の価格設定(しかも時価)
  4. 世界でひとつだけのあなたのための短歌という付加価値づけ
  5. 名前を詠み込むというパターンメイドな手法

以下、詳しく説明しますね。


1.Baseを利用した無料かつ素早いサイト開設

Baseの一番いいところは手早くサービスを提供できるところだと思いますが、それを最大限活かすためにシンプルでわかりやすい商品ラインナップにしたセンスはさすがです。


2.短歌一首からの販売

音楽の一曲販売はiTMS(iTunse Music Store)などでは昔からあって、それと同様に、短歌も一首単位で販売するというアイデア自体はまあ誰でも思いつきますよね。

でも、300首くらいある歌集でさえなかなか売れないこんな世の中で誰が一首だけのためにお金を払うんだよ、という現実があるわけです。

そういった理想と現実をうまいこと乗りこえるアイデアが求められていたわけですが、そのひとつの答えを提示しているという点に価値を感じます!


3.5,757円という強気の価格設定(しかも時価)

一首販売を考えたときに、10円とか100円とかといった少額販売をするという発想もあるわけですが、あえて、5,757円という、歌集の平均価格をも大きく超えるような強気の価格設定をしているのもおもしろいところ。
たとえ無料にしたところでそれほど多くの販売は見込めない短歌だからこそ、「いかに単価を上げるか」というのが重要な課題になってくるわけですが、その課題をうまく解決しているところに感心しました。

この価格設定には「もっと高くてもいいのでは?」という意見もあるようですが、そういった読み切れない価格感応を考慮して「時価」という立てつけにしているのもしたたかですね!


4.世界でひとつだけのあなたのための短歌という付加価値づけ

強気の価格設定である5,757円で短歌を売るためには、当然相応の付加価値が必要になってきます。

一方で、継続的に安定的に販売するためには、安定的に短歌を「生産」できないと駄目なわけです。

いくらプロの歌人であっても、誰にもつくれないような名作をどんどん作れるわけはないので、単純に「短歌の質」で付加価値を担保することは難しい

その点を「世界でひとつだけ」「あなたのためだけ」というコンセプトで解決しているのが素晴らしいと思います!


5.名前を詠み込むというパターンメイドな手法

またオンリーワンな短歌をつくると言っても、ゼロから発想するオーダーメイドな短歌づくりとなると結構難しいわけですが、そこを名前を詠み込むという手法によって、パターンメイドな短歌づくりに持ち込んだアイデアも秀逸です!


■まとめ

先ほどあげた5つの特徴のひとつひとつは、それほど目新しくはないかもしれません。

しかし枡野浩一さんのすごいのは、短歌の商品価値に自覚的であるうえで
その商品価値を最大化して読者に届けるために、どういう仕組みであればなるべく少ない労力でシンプルに実現できるかという点に知恵を絞ってアイデアをうまく活用しているところだと思います。

数少ないプロ歌人として、「短歌をお金に変える」ということに最前線で戦いつづけてきた枡野浩一さんのそういった姿勢から学ぶことはたくさんあるし、今後の活動がますますたのしみです。


ではまた。



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