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2014年9月21日 (日)

【短考】短歌界を盛り上げるために短歌版トリプルミッションモデルを提案します

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短歌界を盛り上げるためには、組織的な取り組みが不可欠だと思っている。本来であれば短歌協会的な中央組織が推進すべきことなんだろうけど、幸か不幸か短歌にそのような中央集権的な組織はない。そんなわけで個人的に提案をしてみる。

そもそも、どうして短歌界を盛り上げたいかというと、それが作者である僕にとっても、読者である僕にとってもメリットがあるからだ。作者である僕が短歌をつづける目的というのは、ものすごく乱暴に単純化すると「承認欲求を満たすこと」だ。承認欲求を満たすためには、まず読者が存在しなければならない。短歌界が盛り上がって、読者が増えれば増えるほど、僕の作品と僕の作品の良い読者が出会う確率は高くなる。一方、読者である僕にとっては、読むことのできる作品の質が上がり、個人的嗜好に、よりマッチする作品と出会いやすくなればハッピーだ。これらはいずれも、作り手の裾野が広がることで自然と解決されるだろう。つまり、良いこと尽くしなのだ。今、自分事としてメリットを語ってきたわけだけど、このことは僕ではないあなたにとっても当てはまるのではないだろうか。

ところが、現状の短歌界はといえば、局所的&散発的なムーブメントは起きているものの、全体として大ブームが起きている状況からは程遠い。たまーに宝くじ的に発生するブームは、運が良ければ、遠くない将来に再来するかもしれないが、その機会を最大限に活かして、持続的なムーブメントに結びつけられる状況かといえば、かなり怪しい。それもこれも、組織的な取り組みが欠如しているからだ。

組織的な取り組みによってマイナージャンルをメジャージャンルに押し上げる試みというのは、他ジャンルでは普通に行われていることだ。その中でも、ここ20年で目覚ましい飛躍を遂げたジャンルに日本サッカーがある。その日本サッカーはトリプルミッションモデルという組織モデルによって駆動していたということもよく知られている。トリプルミッションモデルとは次のようなものだ。


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引用 http://www.waseda.jp/student/shinsho/html/69/6919.html

詳細はリンク先を読んでもらうとして、このモデルは、短歌界の振興に援用することができると考えている。私案/試案ではあるが、短歌版トリプルミッションモデルを図式化したのがこちら。

Triplemissionmodel

勝利に相当するミッションには「プロ歌人」というミッションを配置した。要するに、短歌をつくることで生計を立てられるような、生業として成り立つ歌人の数と質を増やすということだ。プロ歌人や商業歌人という表現に違和感があれば「トップ歌人」と言っても構わない。短歌をつくる人たちのロールモデル/目標になる存在がいれば普及にも弾みがつくだろうし、短歌を読む人たちが喜んでお金を払うような存在が増えれば、市場規模は増えていく。プロ歌人というミッションは、短歌界を盛り上げるための、特有の成功の鍵だと考えている。

また、持続可能性を確保するためにも、市場を拡大するためにも、そしてプロ歌人の質と量を増やすためにも、短歌人口を増やす「普及」というミッションは重要だ。もちろん「市場」も大事である。これらは短歌に特有なミッションではないけれど、それぞれの具体的な戦術レベルでは特有の課題があると思っている。(そのあたりのことはまたいずれ)

さて、それぞれのミッションの妥当性や具体的内容について語ることも大事だと思うが、ここでは、このトリプルミッションモデルの中のミッシングピースについて触れておきたい。それは日本サッカー協会においては「理念」と表現されていた部分であり、上図では「?」と表現した部分である。つまり、これらのミッションを主体的に駆動していく存在が現状では不在なのだ。これが短歌界が抱える最も大きな課題といえる。

最も単純な解決策は、短歌協会のような中央集権的な組織をつくることだ。似たような組織は存在するようだし、つくれない理由もないだろうから、チャレンジしてみても良いかもしれない。草の根までカバーするような完全なピラミッド型組織は難しいだろうが、主要な結社が中心となって超結社的な組織を立ち上げることは可能だろうし、結社を介さない個人登録も認めるようにすれば、かなり目的に適った組織になると思う。

あるいは、何らかの理由で、そのような組織の設立が現実的でないのだとすれば、中央集権的ではないやり方で似たような機能を実現するという道もあるだろう。その際には、コミュニケーションの共通基盤となるプラットフォームの存在が不可欠になるはずで、それこそがまさにtankafulを応援する理由の核心部分なわけだ。

いずれにせよ、大事なことは、ある程度の影響力を持つ人たちが、同じ方向を向いて、継続的に努力するということだ。そのためには「共通の地図」としての全体感のあるモデルがあった方が良い。スポーツビジネスにおけるトリプルミッションモデル自体が仮説の域を出ないものなので、その短歌版であるトリプルミッションモデルの私案/試案は、たたき台以上のなにものでもないわけだが、何かしらの参考になればと思い、記事を書いてみた。

ちなみにこのアイデアを思いついたのは2012年6月ごろなのだけど、だんだんと機が熟しつつあるのかな、という感覚は持っていたりする。

ではまた。

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