カテゴリー「人の短歌を読みました」の39件の記事

2012年12月13日 (木)

「短歌の夜明けらしきもの」を読んで「届け方」について考えた

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2回ほど短歌についてまじめに考える記事が続きましたが、今回は趣向をかえてゆるゆると人の短歌を鑑賞していきます!

今回ご紹介するのは「短歌の夜明けらしきもの」です。


■「短歌の夜明けらしきもの」とは?

「短歌の夜明けらしきもの」は、何らかの歌詠みたちエキチカヘブンで朗読した内容をまとめた冊子です。

「何らかの歌詠みたち」というのは、岡野大嗣さん、木下龍也さん、飯田和馬さん、飯田彩乃さんの4人のユニット名。

結社や同人やサークルとは異なる、一時的で流動的なプロジェクト型のユニットのようです。

今回はエキチカヘブンという、演劇あり、音楽あり、漫才ありという文化系お祭りイベントに参加するために、岡野大嗣さんの呼びかけで集まったのが上述の4名だそうです。

『エキチカヘブン’12』

そしてそのイベントでの朗読内容をまとめたのが「短歌の夜明けらしきもの」というわけですね。

発足の経緯やイベントの詳しい様子は岡野大嗣さんのブログに詳しいのでぜひそちらをご覧ください。

『エキチカヘブン ファイナル』 感想1

入手方法ですが、PDF版と紙版があり、どちらも岡野大嗣さんへリクエストをする必要があります。

紙版のほうは印刷・製本の手間とコストがあるため、確実に手に入る保証はないと思いますのであらかじめご認識あれ。


■内容紹介

では実際に中身を紹介していきます!

一番の特徴は短歌と写真を組みあわせているところですねー。レイアウト的には1ページにつき短歌一首と写真一枚の組み合わせ。

紙面イメージをちら見せするとこんな感じ。

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写真もいいし、レイアウトも見やすいし、短歌も引き立っています。「読者に見せる」という強い意識がなければこうはいかないはず。

まずこの点に感銘を受けました!

また、肝心の短歌もレベルが高くて読みごたえがあります。
僕が気に入った短歌どーん。


『研修生( いつも笑顔で接客を心がけます) 矢野』の舌打ち』(岡野大嗣)


ショッカーの時給を知ったライダーが力を抜いて繰り出すキック(木下龍也)



即答の「コーヒー。アイス。」迷わないふりするうちに迷えなくなる(飯田和馬)



お別れの気配がします私ではなくて後ろのガラスを見ている(飯田彩乃)


いい短歌は他にもありますし、冒頭の木下龍也さんの詩や岡野大嗣さんの後書きも良かったです。

現状、PDF版もリクエストベースで無償配布しているようなんですが、十分にお金を取れるクオリティだと思いました!

お金を取るかどうかはともかく、ぜひもっと積極的にプロモーションして欲しいところです。


■「短歌の夜明けらしきもの」の意義

今回この冊子を紹介した理由として、内容がすばらしいということもあるのですが、「短歌の見せ方」とか「活動のしかた」とか、そのあたりに感銘を受けた、という面が大きいです。

たとえばこのあたりは、短歌本をつくろうとしている人たちは参考になるのではないでしょうか。


1.「見せる」という意識の高さ

写真と短歌の組み合わせ自体は結構昔からあると思いますが、商業出版ではないお手製本で手に取りたくなるようなクオリティに達しているものはあまり見たことがありません。

もちろんセンスとかイメージを実現できる人材の問題とかはありますが、一番大事なのは「手に取りたくるようなものをつくる」という意識だと思います。

この点がまずすばらしいですね!

悲しいことにほとんどの受け手は無関心で冷酷なので、「内容が良ければ届く」という理想論は通じないんですよね・・・・・・。

だから見た目や届け方には、作品づくりと同じくらい心をくだく必要があるわけです。


2.朗読イベント発の展開


またエキチカヘブンという他ジャンルが参加するイベントが契機になっているのも見逃せません。

短歌はマイナージャンルなので、ついつい狭いコミュニティに閉じてしまいがちですけど、
作風によっては短歌の人たちより他ジャンルの人たちのほうが良き理解者/読者になってくれる、なんてことはふつうにあると思います。

自分たちの可能性や読者を広げるという意味でも、いろいろな場に飛び込んでいくという活動には大きな価値があります!


3.少数精鋭かつ流動的なチーム編成


同人誌とかサークルでもそうですけど、メンバーというのは固定化しがちですよね。

それ自体は良い面も悪い面もあるわけですが、プロジェクト型のチーム/ユニットがあってもいいのに、と常々考えてきました。

しかも短歌というのは、簡単につくれるようでいて、読むに値する作品というのはどんな歌人であれ短期間に量産できないわけです。

それを考えても、ひとりで作品をつくりあげるのではなくて、クオリティの高い複数で作品をつくりあげる合同歌集のような形態は合理的。

すでにそのような試みを行っている事例はたくさんあると思いますが、今後さらに増えていく気がします!


■最後に

短歌の世界における不満というか個人的な関心事に、「どうやってマーケットを広げるか」というものがあります。

それは決してマネタイズが主眼ではなく(それも重要ですよ!)、「本来必要としている人に届ける可能性を高める」ことが最大の目的です。

そしてそれを実現するために作り手個人のレベルでできることはいい短歌をつくることだけでなく、パッケージの仕方やプロモーションの仕方など、もっともっとたくさんあると思っています。

勝手な印象ではありますが、岡野大嗣さんはそういうことができる人だし、実際にそうしているし、今後ますますおもしろい活動をしてくれる人だと思っているので、引き続き注目していきたいです。


ではでは。



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2012年4月 2日 (月)

歌集『モテない体位』(鹿ケ谷街庵)は「非モテのアンセム」だと思う

鹿ケ谷街庵さんが、BCCSにて電子書籍として配布(無料!)している
童貞喪失歌集『モテない体位』を読みました。

「これは紹介しないわけにはいかない!」と
気持ちが勝手に盛り上がったので短歌をいくつか引きながら紹介します。


■ハートを撃ちぬかれた短歌厳選10首!

わけもなく悲しくなってくるのってどこまで僕のせいなんだろう

さい銭を投げ入れたくてたまらない アンジェラ・アキの口に向かって

カルピスが少しうすいというだけで泣いてしまったことがあります

ちんちんは悲しいおもちゃ なにもかもどこか遠くに飛ばしてしまう

美しくならない歌は美しいだけの言葉を並べた歌だ

友達のちんちんつかみ冗談にしようかどうか決めかねている

ちんちんの皮をひっぱり続けたい いつか国境線を消したい

おれだっておっぱいパブに行きたいよ人間らしい暮らししたいよ

敬虔な気持ちになってしまいます バファリン飲んで効かないときは

鼻水忌 ウソ泣きだけど泣いたからもうサヨナラの時間は終わり



■感想

ご覧いただいたとおり下ネタと下品な言葉のオンパレード。
物の考え方からして「モテないだろうなー」という感じ。

歌集のタイトルに嘘偽りなし。
それでも問答無用でおもしろい!

そして切なく美しい。

それは作者の切実さが伝わってくるからだし、
世俗へのまみれかたの真摯さに胸を打たれるからだと思う。

これは遠くまで届く傑作歌集だと思います!

*

個人的にちょうおすすめです!
みなさんも是非ご覧くださいねー。



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2012年3月26日 (月)

「うたらば総集編Ⅰ」掲載作品の感想

前回の記事で予告したとおり「うたらば総集編Ⅰ」の
掲載作品のなかで気に入った作品を紹介します。


*


春に恋するのが一番良いでしょう風が強いと尚良いでしょう (伊藤夏人)

恋するタイミングに関する極論の謎の説得力。

「春に恋」はまあ確かにって感じですけど、
「風が強いと尚良い」理由はよくよく考えると謎すぎる。

この謎の説得力を生み出しているのは気象予報士のような語り口なんだろうか。

恋に前向きになれそうなさわやかな作品ですね。


まって、って言葉も届かないくらいあなたとあたしのあいだにさくら (こゆり)

情景が目に浮かぶドラマティックな名作。
まあでもこれ相当なさくらですよ。

しかし解説不要な名作すぎて解説することないな。


好きな人はいないと首ふる十歳の髪にふれればうまれる光 (イマイ)

本当は好きな子がいるんでしょ? んー?(にやにや)

そんな「うざ絡み」をしたくなる作品。
きれいな作品ですね。そしてかなりのキューティクルです。


走ってる 尖った空気吸い込めば わたしの肺がこのへんにある (とびやま)

連作「肺呼吸」より一首。

なんとなく冬のマラソン大会を思い出しました。
「肺がこのへんにある」という独特の身体感覚表現もおもしろいなあ。

言われてみれば納得できるけど、
そういうふうには普通なかなか考えないですもんね。

ぜひ連作全体を読んでもらいたいです。


終わりなど告げずに沈む曇天の太陽みたいなやさしさだった (野比益多)

作品自体の完成度が高いし、着眼点もおもしろいです。
確かに「曇天の太陽」ってやさしいかも。

逆に、真夏の晴天の夕陽って
満面のどや顔で手をぶんぶん振りながら沈んでいく印象があります。

しかし野比さんは陰日向に咲くものにやさしさを見出しがち歌人ですね・・・・・・。
そんな野比さんが自身がやさしい人(orそうありたい人)なのでしょう。



どこまでもあなたの影はまっすぐで そういうところが大好きだった (龍翔)

ふつう影ってまっすぐですやん・・・・・・?
少なくとも個人差ってないですやん・・・・・・?
という常識的な突っ込みを寄せ付けない説得力。

まあ影を暗喩として自然に受け取れるからかも。

龍翔さんは印象的なフレーズをつくるのがうまい、というか活かし方がうまいですね。



魚には魚の呼吸 くちびるを強く結んで行く春のなか
 (むしたけ)

連作「はるのさかな」より一首。

なんかこの「世界に違和感を覚えながらも強くあろうとする感じ」がぐっとくるんだよな・・・・・・。

重苦しくてうざくなりがちなテーマだと思うんですけど、
「春のなか」というさわやかなフレーズがバランスを取っている印象。

こちらも連作自体がすばらしいので、
ぜひぜんぶを読んで欲しいですね。



バスの窓駆け上がる雪 ねえ、あのさ サビしか知らないあれ歌ってよ (とびやま)

あいまいか。

無茶振りをされた相手の困り顔が目に浮かびます・・・・・・。

逆にいうとそんな無茶振りをするくらい退屈な空気感と
無茶振りできるくらいの親密さも伝わってくる。

それはそうと雨粒だけではなく雪もバスの窓を駆け上がるんですね。



春を待つ方法としてわたしなら真っ白になる覚悟はあるよ (ミボツダマ)

まっすぐな姿勢がすがすがしいです。

作品としても、ひねりがあって、
だけれど、一読するとそんなことを感じさせないシンプルなつくりになっていてすばらしい。

ミボツダマさんには「真っ白になる覚悟」だけでなく、
「真っ黒になる覚悟(=目的のためには誰かを傷つける覚悟)」を織り交ぜていただき
ぜひとも春をゲットして欲しいものです。



雪だるまさん そばにいて欲しいけど同じ世界じゃ溶けてしまうの (ショージサキ)

かわいいなおい!

歌っている内容はまあよくある感じだし、
「お前が厚着して外出ろや」という冷静な突っ込みもできなくないですけど、
このキュートな歌いっぷりの前では無意味。

ご本人的には過去の赤面短歌らしいけど、
個人的には今回紹介した作品のなかでも1、2を争うくらい好きな作品です。


*


いかがでしたでしょうか?
気に入った方はぜひ「うたらば総集編Ⅰ」をゲットしてみてください。

ではまた。



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2011年9月13日 (火)

【誤読の部屋】第5回「あの人の小学生を見るときの機械じかけの夢をおそれて(星野しずる)」

クリスマスを3ヶ月前倒しでdisりたい今日この頃。
みなさんはどうお過ごしでしょうか?

君だけの僕こと俺です。

今日はいいニュースがあります!

世界3大部屋のひとつである我らが「誤読の部屋」
(たぶん)1年ぶりくらいの復活です!

全世界で5、6人はくだらないという
ゴドキストたちの歓喜する様子が目に浮かぶようです・・・・・・。

いや。つまらない感傷はよしましょう。
さっそく誤読の部屋をはじめようじゃありませんか!

おわり














■今宵の誤読


 あの人の小学生を見るときの機械じかけの夢をおそれて(星野しずる)



さて、なにもなかったように鑑賞をはじめます。

お歌の作者は、本コーナーではお馴染みの星野しずるさん。

短歌はしばしば「私性の強い文芸」と評されます。
従って鑑賞をするにあたっては作者への理解が不可欠。

そしてご存知のとおり星野しずるさんの本性は「淫乱」
それも「ど」がつく「淫乱」、「ど淫乱」です。
(これほど「ど」が似合うのは他には「ドーナツ」くらいです)

故にこの作品も「えっちな歌」である。
そのことを前提として鑑賞をはじめない手はありません。

ではどこがえっちなのでしょうか?

ブラウスのボタンをひとつずつ外すように、
作品を一単語ずつ読み解いていくことにいたしましょう。

*

まず「あの人」ですが、これは作者の恋人と考えるのが自然でしょう。

歌人の実に98%は自己中心的な恋愛馬鹿です。
したがってそのまなざしの範囲は狭く、ほとんどが想い人にしか向けられません。

これは短歌を鑑賞をするうえで
最初にならう「いろは」(四十八手でいえば正常位ですよ?

次に「小学生」ですが、これはなかなか高度な比喩です。

中学生でも高校生でもなく小学生。
これは何を意味しているのでしょうか?

まず思い出すべきは、この作品が「えっちな歌」であるという事実です。
そして「あの人の小学生」というふうにひとまとまりに読むのが自然だということです。

もうわかりましたね?

「あの人の小学生」とは「恋人のおてぃんてぃん」のことです。
それも「ちいさくてつるつるなひらけないぽんきっき」なアレでしょう。

このあたりの高度な比喩表現はさすが星野しずるさんですね。

次の「を見るときの」は特に説明不要でしょう。
主人公は蔑んだ目でぽんきっきを見ているわけです。

「ひらけないぽんきっきなんてムック以下だわ・・・・・・。毛もないしな」

そんな心のつぶやきまで聞こえてきそうですね。

さて。ここからがこの作品の核であり最も解釈の難しい部分です。

「機械じかけの夢」

これはどういう意味なのでしょうか?

「機械じかけ」と聞いて、
みなさんがすぐ頭に浮かべるのは「ピンクローター」のことでしょうが、
私はむしろ逆で「電気アンマ」のことだと考えました。

何故なら「ピンクローター」だと、
大きさ的に「あなたの小学生」との対比が際だたないからです。

勃たない。これは由々しき事態です。
従ってやはり電気アンマと解釈するのが自然でしょう。

そして「機械じかけの夢」と続くわけですから、
「電気アンマでGO☆TO☆HEAVEN」という意味で間違いありません。

間違いありません。

しかしこの後が問題です。

「をおそれて」

「電気アンマ☆DE☆GO☆GO☆HEAVEN」という意味だとしたら
作者は何故おそれる必要があるのか・・・・・・。

このように解釈に悩んだとき、プロ歌人は語義にあたるのが常です。
それも信頼のあるオックスフォード大辞典(原書)にあたるのが私の流儀。

オックスフォード大辞典によると「おそれ」とは次のような意味です。

1 こわがる気持ち。恐怖。不安。「将来への漠たる―」
2 敬い、かしこまる気持ち。畏怖(いふ)・畏敬(いけい)の念。「神の偉大さに―をいだく」
3 よくないことが起こるかもしれないという心配。懸念。「自殺の―がある」

(Yahoo! Japan辞書より引用)

なるほど。1の意味で捉えていたからいけなかったのです。

3の意味で作品を読みかえした瞬間、
作品の真の姿がありありと目の前に広がりました------

 恋人とエッチをしようとパンツを脱がせると、
 粗末でつるつるな小学生みたいなおてぃんてぃんが目に入った。
 
 私の脳裏に電気アンマのもたらすめくるめく快楽がよぎる。

  思わず私は言った。

  「電気アンマとエッチするわよ」


男の不憫さに泣ける・・・・・・。



■今宵の改作


ただしそのような意味であるならば表記の仕方を工夫したほうが親切でした。


 あの人の小学生を見るときの「機械じかけの夢をおそれて」(星野しずる)


このようにすることで男を脅迫する凄みが出てくると思います。
ここまで言われたら男としては奮起するしかないはず。

今宵も素敵なお歌をありがたう。

*

さて、今回の誤読の部屋はいかがでしたでしょうか?
みなさんの短歌スキルの向上に役立てばこれに勝る喜びはありません。

それではまた。

*

<参考>物好きなあなたに捧げる「誤読のバックナンバー」

第1回「僕だけの集中力を待っているゆれる体を見ていたら夢(星野しずる)」
第2回「にぎやかなアスパラガスから飛び出したゆれる女王に飽きている母(星野しずる)」
第3回「幾何学を忘れ目覚めの週末を集めて風の幾何学でしょう?(星野しずる)」

第4回「誠実な機械じかけの僕のままホットミルクを拾い上げれば(星野しずる)」

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2011年4月24日 (日)

【感想】最近Twitterに投稿された短歌の感想(2011.4.24)

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こんにちは。
ふふふ。おまめです。

おまえら花粉症?(ため口)
管理人は花粉症です・・・・・・。(からの敬語)

でも昨日、今日と症状が楽です!
今日なんてマスクなしで過ごしたのに鼻水なし!

花粉の飛散も落ちついてきたのかもしれませんね。

そんな時候のあいさつもそこそこに、
さっそくTwitterに投稿された作品の感想を書かせてください!


■感想

※筆名がついていなかったものはTwitterアカウント名を管理人が追記しています。
 →今回はみんな筆名がついていました。えらいぞおまえたち!



パーフェクト過ぎる青空 ねえ わたし 誰に弱音を吐いたらいいの?(真木さわこ)

せっかく晴れわたったのに空もいい迷惑ですね!
僕が空なら雲をつかって「知らんがな」と描くところです。

「現実は落ち込んだからといって雨が降ったりしないよねー」というリアリズムもあるし、
青空の存在が、作風が暗くなりすぎるのを緩和しているという点でも成功していると思いました!


無意識に毒を吐いてる 明日からも元気に生きてきみをなじるね(六条くるる)

まったくひどい男だな六条くるるさんは!
こういう奴が結構長生きするのかもなあ。相手もかわいそうに。

でも意外と「そんなひどいくるる萌え」みたいな女子っているのかもな。
だとしたら何も言うまい。


そしてまた阪神ファンのふりをしてウイークデイを乗り切るつもり(鹿ケ谷街庵)

サラリーマンの悲哀を感じる切ない作品ですね・・・・・・。

でもこれを言っているのが「阪神球団の社長」とか
「阪神の監督」とか「阪神の応援団長」だったらいやだなあ。


顔がいい奴らは少し傷つけて平気だろうと思ってごめん(黒川未々)

え? 違うの?

最終的に謝っている黒川未々さんはやさしいけど、
ちょっとくらい傷つけないと不公平だと思うんだよねー。

まあ謝っている黒川未々さんも実はそういう風に思っていてこっそり舌を出してそうだけど。
そんなふてぶてしい主人公像がいいね!


あしたからただしくたたかいぬくために黙って頬の内側を噛む  (笹木真優子)

内省的な姿にぐっときました!
前半の意味はちょっとあいまいかなーと思うけど、「黙って頬の内側を噛む」がかっこいい!
とりあえず主人公はふんどし履いてそう

笹木真優子さんは、とんだふんどし歌人ですね!


*

さて今回の作品はいかがだったでしょうか?
すばらしい作品ばかりでしたね!

さて「短歌ウルフR」では引きつづきすばらしい作品と
「フルカワミキとの婚約方法」を募集しています。

それではまた次の花粉シーズンに!


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2011年4月17日 (日)

【感想】最近Twitterに投稿された短歌の感想(2011.4.17)

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"Some rights reserved by Dave Newman (newmanchu)"

こんにちは。管理人です。
約3ヶ月ぶりの更新です!

その間、日本ではいろいろなことがありましたね・・・・・・。

電車で定期券をなくしたり、
走っていたらバッグのストラップが壊れたり、
31歳になったり・・・・・・。

まあ日本つーか全部自分のことですね・・・・・・。
3月はほんとうにひどかった・・・・・・。

とはいえ、もっとたいへんな人たちが日本中に何十万人もいるなか、
僕なんか恋人がいないことを除けば五体満足なわけだし、
僕は僕のやれることをやることにします!

てなことで、Twitterに投稿された短歌の感想を書きますよー。

■感想

※筆名がついていなかったものはTwitterアカウント名を管理人が追記しています。

あかさたなはっぴーバースデー いつか今日を笑って思い出すはず(篠原謙斗)

幸福感と喪失感がいい感じにミックスされた甘酸っぱい作品ですね!
冒頭は、まあただの言葉あそびなんですけど、その単純さが甘酸っぱさに一役買っていると思いました。
カタカナ/ひらがな表記については人によって異論がありそう。


パンプスがかわいい かかとに貼ってある絆創膏がもっとかわいい(大村椅子)

まなざしのあたたかさにぐっとくる作品です!
Twitterで意図とか推敲の経緯を見ちゃっているので、
僕にはニュートラルな立場で判断することはできないのですが、
「かかとに貼ってある絆創膏」を「パンプスの表面に貼ってある」と
誤読される可能性はないかということだけがちょっとだけ心配。


幸せに生きていたのは幸運のせいじゃなくって笑ってたから (ショージサキ)
 

ホームシックはなおったのかい。ショージサキさん。
この短歌が正しければ笑うといいみたいですよ?


遠くからドレミファそらも青くってきみの歌声聞きたくなった(watanakei)

これも言葉遊びだ!
ドレミファだし、空も青いし、すこーんとさわやかな作品です!


太陽のほうを向かずに咲いている花みたいだねわたしたちって(udonnobita)

わあ! かっこよく言っているけど「根暗カップル」ってことですね!
見すえる先(たとえ多数派とは真逆だとしても)を共有しているふたりの
親密感や幸福感が伝わってくる素敵な作品です!


正しさにゆがむ眼鏡をはずしたら街は打ち上げ花火にみえた(watanakei)

これは目のわるい人にはわかる、目のいい人にはわからない作品ですね!
しかし、ほぼ完璧な作品だなー。


隠してるつもりの箱に気づかないふりをしている誕生日です(仁尾智)

リズムもいいし、内容はキュートだし、最近僕の誕生日だったし、言うことないですね!
おたがいを気づかうあたたかい関係性が素敵だなー。

*

ひさしぶりの感想でしたが、いかがだったでしょうか?
次はセミの鳴くころにお会いしましょう!

それでは!

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2010年12月 4日 (土)

【感想】Twitter(#kantantanka)投稿作品の感想(2010.12.4)

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"Some rights reserved by Xanetia"

こんにちは。管理人です。
いえーい。おじいちゃん見てるー?

今回は久しぶりに人様の短歌の感想を書くことにします!

基本スタンスは、
好きな作品だけを対象に、愛情を込めて感想をつける!
これだけです。

今回はTwitter(#kantantanka)に最近投稿された作品のなかから、好きな作品を選びました。

それでは早速いってみましょうか!


■感想

※筆名がついていなかったものはTwitterアカウント名を管理人が追記しています。


抱き合って眠るためには少しだけ君を嫌いにならないと 駄目(六条くるる)

名前が「くるる」だけあって、六条くるるさんの作品はひねくれてますね!
しかし、そこが作品の魅力です!
リズムもいいし、完成度が高いんだよなー。


人生のほとんど全部あげるから君のお金を僕にちょうだい(六条くるる)

引きつづき六条くるるさん。
みなさんどうですか? このひねくれっぷり!
まあでも、なんか憎めないんですよねー。
ついついお金をあげてもいい気になるからふしぎ!
人生のほとんど全部をくれるって話だしなー。


戻る場所あるって事が今僕の誇りでもあり保険でもある(@tocotomoko)

作品の意味は明瞭じゃないんですが、すごく気になる作品です。
築きあげてきた何か(人間関係とかキャリアとか資産とか)があるってことが、
主人公の誇りだし、いざという時に守ってくれる保険でもある、って感じでしょうか。
なかなか深い作品ですな。


君のこと考えてると眠れない 胸ではなくて頭が痛い(六条くるる)

これもひねくれてるなー。
もう「くるる」を超えて「くるんくるん」の域に達しています!
しかし、ここまでひねくれるなんて。六条くるるさん。なにがあったんだ。
六条くるるさんの作品は全体的にレベルが高い。
今後の作品に要注目です!


もう少しだけでいいから左手の届く範囲にいさせてほしい(真木さわこ)

かつて「ツンデレ歌人」として一世を風靡した真木さわこさんですが・・・・・・。
どうしたさわこ? 何かあったのか?
驚くべき豹変ぶりですね・・・・・・。
それはともかく主人公の控えめな態度にぐっときました。
「左手の届く範囲」という具体的な描写もいい!


少しだけ足が触れてる それだけで言いたいことは全部わかった(檀可南子)

なにこの高度なコミュニケーション。こわい。
まあでもわかる気がする。
ずっと暮らしているとちょっと体が触れただけで相手の感情が伝わったりしますもんね。
この作品で、相手が怒っているのか喜んでいるのか、
前後の状況がわからないので確信は持てませんが、
そんなふうに背後のストーリーを知りたくさせる魅力がある作品です!


最後まで勝負する気がないのなら 最初から手をだしたりすんな(檀可南子)

檀可南子△!
リズムもいいし、言うことなし!


二回目のキスはそういうことですね?そう思ってもいいんですよね?(真木さわこ)

ほんとうにどうした? さわこ。
つらい恋でもしているのかい?
主人公の必死さが切ない作品です・・・・・・。


とりあえずそこにしばらく立っていて 今から脳に焼き付けるから (ショージサキ)

ふてぶてしいんだか、おくゆかしいんだか、よくわからない主人公像がおもしろい。
すごくどうでもいいことだし、感想とはまったく関係ないんですが、
「おくゆかしい」「おかゆほしい」って似てますよねー。


好きでした 好きだったはず たぶん好き だってあんなに 泣いたりしたし(@miyudolce)

このあとに紹介する作品もそうなんだけど、過去形シリーズ流行ってるの?
過去形に着目すること自体は決して新しくないんですが、
この作品は「だってあんなに 泣いたりしたし」というフレーズが魅力的でした!


愛してた大好きだった大丈夫もう過去形で全部話せる(@Ta_Kana_)

出ました。名作です・・・・・・。
過去形ネタは新しくないとさっき言いましたが、これだけ完成度が高ければ言うことなしです。
失恋したばかりの人たちみんなに読んでほしい作品ですね!


「ここではないどこかへ」なんて言ってるときっとどこへも行けなくなるね(ごみたゆうこ)

恋人どうしの会話というふうに読みました。
ふたりのほんわかした関係性がなんとなくうかがえるところが好みです!
「夢みたいなこと言ってるとなにもできないよ」と叱責しているようにも聞こえるんですが、
「まあでもずっとここにいてもいいよね?」と、あたたかく世界を肯定しているように僕には聞こえました。


酒なしに生きていけない人生もいいんじゃねえのと笑うカナリア(@tocotomoko)

ロックですね!
チバユースケを思いだしました。
あと、インコさんのことも思いだしました。

*

いかがでしたか?
いい作品がいっぱいでしたね!

いやー、しかし久しぶりの感想だったので、
こんな感じでよかったのか不安でいっぱいです・・・・・・。

ではまた、忘れころにお会いしましょう。

あばよ!


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2010年6月 9日 (水)

【感想】「暖炉とか薪ストーブとかある部屋の良さを伝える短歌大賞」5月6日の予選通過作品(3/3)

こんにちは。元管理人です。

今回は、前2回に引き続き、5月6日の予選通過作品が対象です。

これで「暖炉短歌」の感想も書きおさめです。
さみしくなるなあ……。

それでは、最後の感想を書いていきますよー。

■感想

風邪をひき暖炉の前でうずくまる 猫みたいって誰か笑って (篠原謙斗)

「てゆーか布団にはいったほうがいいんじゃね? きゃはは」
篠原謙斗さん。こんな感じですか? ←ちがう
あと、この状況で「猫みたい」って笑える人は鬼畜の恐れアリ。


フレイムがフレームのなか揺れている 暖炉がテレビのように見えるね  (短篇吟)

お。改作ですね?
表記を変えて可読性が増しています!
でもダジャレなんですよね……。くそ……!


薪割りも ダイエットになる 薪ストーブ 燃やしておくれ 体脂肪をも (さけのむ子)

これまた実に朗々とくだらない願望をうたいあげましたね!
そのふてぶてしさに乾杯!


新聞と悲しい手紙燃やすのは薪ストーブが拒まないから (ハレヤワタル)

「薪ストーブが拒まないから」という発想が素晴らしすぎます。
こんな発想なかなか出てこないよなー。


おしまいを暖炉の前で告げられる 火を見て僕を見ないあなたに (仁尾智)

あー。切ないですね……。
「距離感」の表現のしかたがお見事でした!


トーマスと 孫は暖炉を呼んでいる 汽車の仲間と思ったようです  (短篇吟)

発想がおもしろくて、説得力があって、
しかもほのぼのしているという、実に「お買い得」な作品ですね!
孫「わあ。とーますだ! ぼくとーますにのるー
短篇吟さん「……のっちゃだめええええええ!
泣ける


暖炉ある家で育った子どもには思い出だけで負けると思う (野比益多)

うーん、名作だなー。
完成度も高いし、この説得力。
しかも、親からしたら「よーし、暖炉買うぞ!」ってなりそうですもんね。
のび太のくせになまいきだなあ。


暖炉系男子が次の冬あたり増えて女の子とぽっかぽか  (木村比呂)

説明的な前半だったのに、
最後は「女の子とぽっかぽか」と放り投げちゃう感じがいいですね!


暖炉なう の検索結果 約881,000件 暖炉なう!  (木村比呂)

2010年6月9日現在だと約805,000件でした。
ちなみに木村比呂さんのこの短歌が2番目くらいに表示されています。
よかったですね?(にっこり)

わたしたち言葉に頼りすぎたから暖炉の火だけ揺らしておこう  (野比益多)

雰囲気のある作品ですねー。
情景が目に浮かぶ。
このあとどうせイチャイチャするんですよね? わかります。
のび太のくせになまいきだなあ。


とろとろと暖炉に残るおしまいの火種はふるえるくらい甘そう  (木村比呂)

「おしまいの火種はふるえるくらい甘そう」はステキな表現ですねー。
もっというと文化系女子ににモテそうな表現です! 管理人は怒っていますよ!
まあでも、いかにも木村比呂さんらしい作品だなーと思いました。

さて、以上で暖炉短歌の感想は終了です!
おつかれさまでしたー。

いやー。いい作品がたくさん読めてしあわせでした。

感想はこれで終わりなんですが、
短歌ウルフRとしてパワープッシュしたい作品を別記事で後日紹介する予定です。

そちらもぜひ読んでくださいね。

それではまた!

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【感想】「暖炉とか薪ストーブとかある部屋の良さを伝える短歌大賞」5月6日の予選通過作品(2/3)

こんにちは。管理人(涙)です。

今回は、前回に引き続き、5月6日の予選通過作品が対象です。

それでは、さっそく感想を書いていきますよー。

■感想

そういえば迂闊な人に惹かれがち 暖炉で髪を焦がすみたいな (仁尾智)

いやいやいや。それ迂闊すぎです……。
下手したら大惨事ですから……。
でもおもしろいです。


いまピーク 薪ストーブの火力とか知力・体力・時の運とか (レレレ田村)

どういう状況でしょうか……。
レレレ田村さんが心配です!


薪くべる悩みも一緒に燃やしてる 失敗した日はあったまりすぎ  (バハマ)

おー。「失敗した日はあったまりすぎ」というフレーズはすごいですねー。
それほど深刻な感じを受けないところが読んでいて気持ちいいです。


「好きです」と火照った顔に書いてある 暖炉にあぶり出されたらしい (レレレ田村)

やっぱり「あぶり出された」という発想がすばらしい。
火照って赤くなる……というところから更にひねっているわけですね。
レレレ田村さんの「ひねり」好きは異常だな。


とろーりとあぶったチーズを黒パンに 薪ストーブでハイジになろう (小野伊都子)

お。改作ですね?
一字空きを入れたことで、ぐっと読みやすくなりましたねー。
内容については以前 こちら で感想を書いたとおりです!


暖炉には春につながるドアがある 火が消えた時きっとわかるよ (小野伊都子)

これはうますぎる……。
このきれいなまとめっぷり!
小野伊都子さんは、相当な実力の持ち主と見ました!
名作ですね。


よよいのよい 暖炉の前で野球拳 ためらいもなく脱ぐのがルール (レレレ田村)

「ためらいもなく脱ぐのがルール」がおもしろいです!
でも、ためらいもなく脱がれたら、つまんなさそうだな……。


「そのセーター、暖炉の色に合ってるね」「暖炉の色に合わせたからね」 (レレレ田村)

レレレ田村さん。どうした。疲れたんだろう。少し休めよ。
な?


泣くときは暖炉の前と決めている 涙がはやく乾いていくから  (方解石)

あー。切ない作品ですねー。
はやく泣きやまないと顔が塩だらけになっちゃいますよ?


きみなんか もう捨てようと思いつつ 暖炉の前で膝枕する  (方解石)

これはすごい!
なんですかね。このドラマ性は。
ああ。ドキがムネムネする……。


どうしよう なかなかおいとま出来ません 薪ストーブに引き止められて (齋藤小鳥)

うーん。うまい作品だなー。
「薪ストーブ」の魅力をアピールしつつ、別の主張をこめているのもうまい。


君が来て暖炉の炎変わったな 今日はささいな事もまぶしい (安藤三弥)

ああ。この作品がまぶしいです……。
幸福感が満ちあふれた作品ですね。
名作だ。

いやー。本当に良い作品ぞろいです。
俺よく受賞できたな……。

さて、いよいよ次回が最後の感想です。
ぜひ読んでくださいね?

それではまた!

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【感想】「暖炉とか薪ストーブとかある部屋の良さを伝える短歌大賞」5月6日の予選通過作品(1/3)

こんにちは。管理人(笑)です。

今回は、5月6日の予選通過作品が対象です。

「暖炉短歌」もとうとう投稿最終日4月30日分まできました!

なので、感想も今回でおわりです……と言いたいところですが、
最後の予選通過作品は質・量ともにこれまでとはケタ違いです!

感想を書きたい作品はなんと30首以上……。

というわけで、3回に分けて感想を書いていきますねー。

■感想

愛よりもわかりやすいのはあたたかさ 暖炉の前でハグしてあげる (さく)

やばい……。
「暖炉の前でハグしてあげる」なんて言われたら惚れてまうやろー!
「愛よりもわかりやすいのはあたたかさ」という表現もいいですね!
うーん。つまり完璧ってことだな。
名作です。

探し物まだまだ探す気なのですか? それより僕とShall we 暖炉? (すくすく)

どこからか持ってきたような言葉だけで構成されているのが逆に新鮮でした!
推敲とか結構たいへんだったじゃないでしょうか?
こういう作品って、実は、相当に語順とかを工夫しないとまとまらないんですよねー。

かあさんは暖炉へそっとひざを出す 痛いところは誰にもあって (水野加奈)

「痛いところは誰にもあって」はドキッとするような鋭い言葉ですねー。
情景が目にうかぶところも素晴らしいです。

お父さん暖炉の部屋を片付けて! 渡辺さんがうちに来るから (水野加奈)

いやー、どたばたとた情景を描いた、思わず笑みがこぼれる作品ですね!
いきなり「渡辺さん」とか言われても困っちゃうんですけど、
前半の畳みかけるような口調に無理やり納得させられちゃいました。

きみはもう僕がいなくてもだいじょうぶ 薪ストーブを消しておやすみ  (方解石)

冷たい主人公のようにも思えるけど、管理人は、やさしい人物像をイメージしました。
「薪ストーブを消しておやすみ」があったかい。


もう一度やりなおせるかな私たち 離婚届を暖炉で燃やす (方解石)

暖炉でなにかを燃やす、というのは情景としてよくあるんですけど、
「離婚届」はちょっと珍しかったかも。
方解石さんの作品は完成度も高いなー。

ごめんねと素直に言える気がしてる 薪ストーブを見つめていると  (方解石)

あー。確かにそんな気がしますねー。
でも、「気がして」ないで、さっさと謝りなよ、とも思います!

貧乏でコタツを暖炉と呼んだ父 覚えてますか (本物、買ったよ) (方解石)

「(本物、買ったよ)」にぐっときました!
字余りなんですけど、喜びがあふれている感じが、うまく表現されていると思います!


もう僕が壊れてしまいそうな夜 暖炉の前で腹筋をする  (方解石)

なんなんでしょうね。この説得力。
しかし、「腕立て」といい暖炉には筋トレが似あうんでしょうか……?

磯野家に暖炉があれば薪を割る係はきっとカツオであろう (レレレ田村)

なにが「であろう」だ。
そんな偉そうに言う内容か!
まあでも、まんまとタマを吹きました。 ←ニャー
しかし、「マスオさん説」に一票を投じたい管理人です。

ため息にゆれる暖炉の炎たち 許してほしいゆれる私を (さく)

お。改作ですね?
実は、改作前の作品は、ちょっと言葉遊びが過剰な気がして、
迷いながら感想に取り上げなかったんですけど、これはいい!
シンプルに仕上げたことで、メッセージがぐっと引き立った印象です。

きょう割った薪が暖炉で燃えている あしたの薪はあした割るのだ (レレレ田村)

「明日は明日の風が吹く」のレレレ田村さん流の言い直しですね?
「あしたの薪はあした割る」。何故でしょう。ちょっとカッコ悪い……。
でもこれって人生のお手本にすべき態度ですよね?

どうでしたでしょうか?
これでまだ3分の1ですよ!

今回は、方解石さんのラストスパートが目立ちましたねー。
だいじにだいじに作品を推敲していったんだろうなあ。

これってなかなかできないんですよね。
特に発想勝負の作品だと「先に他の人に詠まれたらどうしよう」って焦りもあるし。

他の方々の作品もみんな完成度が高いし、感想を書いていておもしろかったなー。

次回はこの続きでーす。

それではまた!

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